2014年09月03日

国際バカロレア入試<後編>

FMICS(高等教育問題研究会)の会報 『BIG EGG』2014年9月号 掲載のエッセイです。
<中編>から

 国際バカロレア資格(以下IB資格)の評価と位置づけについては、各国の大学の入学資格における取り扱いを比較して見ると良くわかります。

 世界における高大接続を比較して見ると、そこには大学入学までの教育年数やレベルの違いが存在します。日本やその戦後教育制度のモデルとされた米国では12年の学校教育の上に大学が位置づけられていますが、ヨーロッパ諸国など中心に大学入学前の教育年数やレベルが13年程度とされている国々もあります。

 例えば英語圏の国々で見ると、日本の高校卒業生が英国の大学やその影響の強いオーストラリアやニュージーランドの大学に入学しようとする場合、通常は日本の高校卒業資格だけでは(高い英語力を有していても)充分とは見なされず、ファウンデーションコースなどと呼ばれる1年程度の準備課程を履修しなければなりません。それに対してIB資格を有する場合は、応募する大学や学科などにより求められる修得科目や評価点の定めはあっても、基本的な入学資格として認められています。つまりIB資格は、こうした国毎の教育制度や高大接続レベルの違いを補うために、高いレベルでの資格としてデザインされ評価されているのです。

 そしてIB資格を持つ者が米国やカナダの大学に入学する場合は、修得科目やその成績に応じて大学レベルの既修単位として認定される事が一般的です。たとえ部分的な科目修得に留まりIB資格取得に至らなくても(IB資格より水準の低い一般的な高卒資格を得れば大学に入学出来るので)、修得した科目の成績によっては単位認定がなされます。

 ところが我が国の大学おいては、IB資格(や部分的な修得科目)に対する単位認定は、今のところ法的に認められていません。日本の高卒資格とIB資格を比較すれば明らかにIB資格の水準の方が上であり、しかもTOEFLやTOEIC等の英語資格に対しては大学の判断で単位認定を行う事が認められているにもかかわらずです。これは、あるIB資格者が米国の大学に進学すれば単位認定を受けられるのに、日本の大学に進学した場合はそれが不可能という事を意味し、学生募集上のマイナス要因にもなります。

 私の知る所では既にこの問題について、2012年3月に開催されたIBに関する講演会の席上で、文部科学省の担当官に対して複数の大学関係者から指摘と強い要望が出されています。大学が単位を与えることのできる(大学外の)学修を定めている文部科学省の告示を改正して、IBをその対象とするだけで済む事なのですが、なぜか手つかずのまま。IB認定校を大幅に増やすべく閣議決定までした勢いに比べると、少々不思議なのであります。

(出光 直樹)

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posted by N.IDEMITSU at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | FMICS巻頭言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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