2018年09月13日

入試不正の防ぎ方<前編>

FMICS(高等教育問題研究会)の会報 『BIG EGG』2018年9月号 掲載のエッセイです。


 文部科学省幹部職員の逮捕を発端に明るみになった東京医科大学の入試不正を受けて、文部科学省は、医学部医学科を設置する81大学に対して、以下の項目からなる「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係わる緊急調査」を実施しました。

1.入学者選抜に関する学内規則・マニュアル等の整備状況について
(1)入学者選抜に関する学内規則・マニュアル等の設備、(2)採点や合否判定の基準を明確に定めているか、(3)採点や合否判定の際に受験者の氏名は匿名化されているか、(4)採点や合否判定の際、受験者の属性(性別、年齢等)はマスキングしてるか、(5)不合格者等から入試成績の開示請求があった際に開示しているか。

2.各年度(2013〜2018)別の募集人員、志願者数、受験者数、合格者数、入学者数の男女別・年齢別割合と、その結果に対する大学としての分析(@男性の合格率が女性の合格率を上回っている場合の理由、A年齢毎の合格率が大きく乖離している場合の理由)

3.入学者選抜の詳細な実施状況について
(1〜2)特定の受験者について事前説明のない特別な加点等の有無、(3〜11)性別、年齢、その他の属性による合否判定に至る取扱の差異の有無、(12〜13)募集要項等に定めていない採点・合否判定の手続の有無、(14〜15)採点・合否資料の保存の有無。

 以上の結果の速報は、9月4日付けで報道発表があり、多くの大学で男子の合格率が女子の合格率を上回る傾向がみられたものの、特定の受験者に対して特別な加点を行ったと回答した大学は、皆無でした。

 過去6年間の合格率の平均の男女格差は、東京女子医科大学を除く共学の80大学中、男子の合格率が女子の合格率の1.67倍となった順天堂大学を筆頭に、63大学が男子の合格率の方が高くなっていました。逆に女子の合格率が最も優位になったのは弘前大学で、男子の合格率は女子の0.75倍にまで下がります。80大学の平均は1.18倍で、ちなみに我が横浜市立大学は1.21倍です。

 この速報結果が報道されると、やはり不自然であるとか、大学側の説明が不十分であるといった声が上がり、引き続き文部科学省による訪問調査などが行われていますが、現場の担当者の1人として、少なくとも本学では不正な事は行ってはいないと断言します。そして今回の調査や文部科学省の対応には、不正を防ぐという観点からみて大切なポイントが抜けている事を指摘したいと思います。

<後編へ>
(出光 直樹)

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posted by N.IDEMITSU at 18:04| FMICS巻頭言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする