2019年02月26日

「大学入試英語成績提供システム」の課題 <中編>

FMICS(高等教育問題研究会)の会報 『BIG EGG』2019年3月号 掲載のエッセイです。

<前編から>

 2018年12月28日付で大学入試センターから公表された「『大学入試英語成績提供システム』の概要」は、(1)対象となる受験生に対する共通IDの発行、(2)各英語資格・検定試験の実施主体から大学入試センターへの成績の送付、そして(3)大学入試センターからこのシステムを利用する各大学への成績提供、等の概要を示しています。

 この成績提供システムは、2020年度(2021年4月の大学入学)より運用を開始し、2020年4月〜12月までに受検した資格・検定試験が導入時の対象となります。そのため、共通IDの発行は、それに先立つ前年度の11月頃に申込み受付をして12月〜1月頃を目途に発行するとしています。その際の申込みは、現行のセンター試験の出願と同様に、高校等の在学者については在籍校で申込書を取りまとめの上、一括して申込みを行い、既卒者等については個別に直接センターに申込みを行うこととしています。また所定の申込期間以降でも、翌年度(大学受験年度)の9月頃までは追加申込・発行に対応する予定としています。

 共通IDの有効期間は2年間(大学受験の2年度分)とする予定のため、このシステムを利用する最初の世代となる2021年3月卒業予定の高校生が、もし1年浪人して翌年度に大学を受験する場合は、再度のID発行の申し込みをする必要はありません。

 共通IDの発行を受けた受験生は、成績提供の対象となる英語資格・検定試験の受検を申込む際にこの共通IDを記すことにより、大学入試センターを経由して成績が大学に通知されることになります。大学に通知されるのは、受験年度の4月〜12月までに受検したうちの2回までであり、仮に3回以上共通IDを用いて申込みをしても、センターには3件以上の成績が届くものの、大学に成績が通知されるのは、試験実施日の早い順に2件までとなります。

 各大学は、大学入学共通テストを利用しない入学者選抜においても、この成績提供システムを利用する事が可能であり、また実施時期の早い「総合型選抜」(現行のAO入試に相当:9月以降に実施)や、「学校推薦型選抜」(現行の推薦入試に相当:11月以降に実施)でも利用することが可能とされています。

 つまり国公立大学の一般入試だけでなく、私立大学の一般入試や、AO入試・推薦入試を含んだ、ありとあらゆる入試で活用出来ることも想定して、共通IDを介したシステムが構築されようとしており、仕組みそのものはそれなりに便利そうではありますが、入学者選抜における英語資格の活用という点において私の立場からは、残念ながらこのシステムだけでは用が足りないのです。

<後編へ>
(出光 直樹)

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posted by N.IDEMITSU at 18:34| FMICS巻頭言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする